風と 雲と 君と CONTENTS BACK < UP

   

epilogue


その日、朝から一日中、冬の丘を歩きまわり写真を撮っていました。

駅への帰り道、僕は残りの道程を考えながら最後の上り坂を歩いていました。
坂の中ほどで、なにげなく顔をあげると、丘の頂上から中学生らしい女の子が二人、楽しそうに会話をしながら下りて来ます。
旅人の少ない二月に、カメラザックを背負った僕の姿を見て、彼女たちは何を思うだろう。
少し不安にも思う。

けれど、すれ違う時、伏目がちで歩く僕に、「こんにちは」と挨拶をくれた。
疲れてはいたけれど、この坂道を歩いていて良かった。

少し上ってから振り返ってみると、何事もなかったように、楽しそうに会話をしながら坂道を下りていく彼女たち。

陽が傾き始めた冬の坂道でのささやかな出来事を、今でも僕は懐かしく思い出すことがあります。

〜 Sai 〜